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戯言

by Inuwatari Ryosuke

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1.
空欄のまま解答用紙を また眺め続けている いつまで経っても 答えは出ないままで 眺め続けている もう何もいらないんだよ もう全部いらないんだよ ああ
2.
漂う。 水面の上で揺られている落ち葉の様に。 気づいたら齢だけを取った私は 捻くれた様すら 誰にも見せないまま 朽ちていくばかりで。 ほら。水底を見下して。 ああ。なれの果てが見えるよ。 ――目を背けないで。 腐っていく私には それが世界の全てだった。 剥がれては沈んでいく 夢を見ては心を殺したんだ。 いつからこんなにも汚れた水を飲んでいた? 掬われることはない汚い心で。 腐っていく私には それが世界の全てだった。 剥がれては沈んでいく 夢を見ては心を殺したんだ。 また。 今でも揺れている。 水面の上で。
3.
夏の陽射しが私を焦がす頃に 蝉のように生きられたら 過ぎ征く時間も少しは 意味のある抜け殻になって 心の穴を埋められるかな 新しい私になりたくて 鏡に映る蛹を見て 息をするように 「醜いね」と嗤う 私がいた 蝋で作った羽根で飛び立った私は、 少しの間空から街を見下ろした。 その景色はとても優美で、 誰もが私を見上げている。 ふと地平線へ目を向けると、 とても美しい夕日が私を照らしていた。 私は少しでも太陽になりたくて、 西へと羽ばたくのでした。 墜ちていく視界 溶けていく身体 新しい私になりたかった 地平線に浮かぶ夕陽を見て 息をするように 「綺麗だね」と嗤う 私がいた 私がいた 嗚呼
4.
枯れ犬 03:06
目を開けろ そこには言葉も意思もなく 亡き空を泳ぐ人の行進だ 明朗快活反して滅入ろう心 亡き空を見上げる枯れ犬さ 黒雨抜けても晴れぬ視界 壊れかけのステレオから流れる レットイットビー 神はいるか?縋るものはなく 作りかけの模型は日の目を待つ 目を開けろ、そこには言葉も意思もなく 亡き空を泳ぐ人の行進だ 明朗快活反して滅入ろう心 亡き空を見上げる枯れ犬さ 鉄が啼く錆色に落ちる夕焼け 陽に照らされては影を作る渇き切った心 神はいるか?縋るものはなく 作りかけの模型は日の目を待つ 目を開けろ、そこには言葉も意思もなく 亡き空を泳ぐ人の行進だ 明朗快活反して滅入ろう心 亡き空を見上げる枯れ犬さ 枯れ犬さ
5.
化猫町 02:51
見てくればかり気にしては ささくれだったその心臓で 夜な夜な世に不満を抱き 罵詈雑言を喚き散らかした 歯に衣着せぬ戯言を さも学が己に有る様に 吐かす様は余りに滑稽 俺は薄ら笑っている 此処は誰もが面を被り 華美な振袖に袖を通し 正義を興じる狂宴街 化猫町一丁目へおいでませ 気を張らねば辻斬りが 俺の喉元を跳ねるだろう 傍ら下駄を擦る音が 臨終告げる鈴に聴こえる 此処は誰もが面を被り 華美な振袖に袖を通し 正義を興じる狂宴街 化猫町二丁目はすぐそこに 偽りの言葉で誑かす夜に笑う俺は 本当の愛をも忘れては化け方を覚えた かく言う俺もこの夜を 肴に酒を呷っている この町で踊る猫共の 餌にならぬよう祈っている 此処は誰もが面を被り 華美な振袖に袖を通す 踏み入れば戻れぬ誘いで 快楽に溺れていく 此処は誰もが面を被る 華美な振袖に袖を通し 化猫町三丁目を御贔屓に!
6.
白熱灯 02:05
神は無情で、私達に心を与えた。 夜は虚ろで、狂うほどに何もない。 叩いた鍵盤が軋んだ声で歌う。 それを音楽と呼んだ無様な私は、 天才にはなれないことに気づいた。 それでも、白熱灯から落ちた私の影を見下ろして、 足首を掴む滑稽な顔に、 「お前の様になりたくない。」 と、毎晩笑うのです。 嗤うのです。
7.
窓から吹き込む風が 少しずつ寒くなってきました。 私はこの夏を、 もう少ししたら 忘れてしまうのでしょうか。 大人になってから 全ての時の流れが、 まるで、蝉のように。 短い命の連続のように見えてしまって。 朝起きて顔を洗い、 昼にはぼんやりとした陽気に眠くなり、 夜には孤独に泣いている。 そんな繰り返しに、意味はあるのでしょうか。 それを探すことが、私の生きる意味なのでしょうか。 それとも、ただ茫然と過ごすことが、 私の生きる意味なのでしょうか。 あなたはどう思いますか?
8.
相対する現実と、過行く日々を憂いている。 すれ違う車窓に映る私と目が合った。 泣いているようにも見えたそれは、 もはや私ではない何かで、 くすんだ鼠色の刃先を自分の喉に突き付けている。 罅をつけるだけの日々を私は信じていない。 汚れた言葉を聴いて。 渇いた目で見届けて。 歪んだ心を吐き出して。 掠れた声で切り付けて。 私は夕色に染まっていく。
9.
惑星 03:02
ここは酸素の海 僕は生まれ落ちてから ずっと溺れたままで また呼吸を忘れてる やさしさも ひとりぼっちじゃ 使うあてがないよな いつからこの惑星で ピアノを弾いているんだろう 息切れしたって 声が枯れたって 僕はここにいるって 歌ってるんだ 聴こえてるかな
10.
Distortion 02:05
目の下のくまが酷くなって もう子供ではいられないことを知った 呼吸が苦しくなる度に 誰かの視線が怖くなって 自分の愚かさや醜さに 毎日胸倉を掴まれている 僕は僕であり続けたかった 例えどんなに汚れてしまっても 赤い目をして泣き喚めいた 映画の最後を見届けた 浅はかな僕を殺してよ 滅茶苦茶に歪んだギターで
11.
私たちには感情を持つ権利がある。 同様に誰かを感情で染める力を持っている。 喜びも、怒りも、憎しみも、悲しみも、 前触れなく私達の元へ歩み寄ってくる。 虚ろの中で全てを生み出せなくなった人たちがいる。 道行く人の目を気にして生きていること。 皆の機嫌を伺いながら生きていること。 本音を抑圧しながら耐えていること。 死の漠然とした概念に押しつぶされそうになること。 私たちはそうした苦しみの中で生きている。 ほんの些細な幸せにすら気づけなくなった時、 あなたは独りだということに気づくでしょう。 誰にも助けを乞えないことに気づくでしょう。 私たちは救う為に音を紡いでいる。 あなたに寄り添う為に言葉を作る。 届かなかったとしても、 あなたが独りではなかったということに気づけるよう、 祈っています。

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released February 26, 2023

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